「あの、何かお飲みになりませんか。コーラとペプシコーラとどっちがいいですか?」・・作者が散らかしっ放しにしていた雑誌に足をとられて転倒し顔を強打・出血した細君をむかえにきた救急車の運転手さんに、作者が言ったせりふである。「救急車なんて呼んだこともなかった。そんなものがやってきたことが実に申訳ないように思われた。」ためだそうな。本書は、日本経済新聞に『私の履歴書』として連載されたものに加筆修正したものである。文学への目覚め、執筆開始、躁とウツ、父と母妻と娘、先輩や友人、歳晩に思うこと・・・大河ドラマの総集編を見るような趣のある一冊である。