これはポーンA1をベースに更に“騎乗戦”に特化した新型アーマーの開発計画であり、その概要はガバナーをより直接的に戦闘に参加する構成要素として扱うことで、第三世代ヘキサギアの戦闘能力を引き上げようというものであった。 要求仕様の上位を占める項目のほぼすべてが第三世代ヘキサギアの開放型操縦席による騎乗戦を志向しており、常時砲火に晒されるガバナーの生残性を飛躍的に向上させている。 本体の重装甲化は胴部の重要部位に集中し、四肢に関してはヘキサギア搭乗時の運動能力を担保するため外観への大きな変更はなく、膝などの突出した部位の装甲が改められた程度となっている。 しかしインナースーツに張り巡らされた“人工筋肉”はパワーアシスト性能に大幅な向上が見られる。これはヘキサグラムが供給するエネルギーを過度に消耗し運用時間が短縮されることを前提に、その対価として高出力を得るというものであり、ポーンA1には装備不可能な重火器による戦闘能力向上を目指した結果であった。 このシステムは概念的にはレイブレード・インパルスの「共振励起」に近いものと言え、後に続く白堊理研によるエクスアーマータイプの研究へも引き継がれている。 加えてポーンA1から大きく変更された点にマウントアームの追加がある。拡張プラットフォームとパワーアシストを兼ねたこの装置は一基を標準装備とし、ユニット構造による分割・換装によって運用方法に柔軟性を持たせている。当然ながら他のアーマータイプへの互換性も持っており、シールドやチャージキャノンなど本来は車載で運用すべき重火器をはじめとした各種装備を懸架しKARMAによる制御システムと組み合わせて使用される。 当初、ポーンA2と呼ばれたこれらの装甲強化コンポーネントの多くは「ナイト」という名称によって統合され、リバティー・アライアンスは「アーマータイプ:ナイト」の量産を開始、各地へと送り届けた。ガバナーは新たな鎧を纏って難敵との戦闘に勝利した後、猛々しくその手に持つ剣を掲げるのであった。