CLP-885 CLPシリーズのフラッグシップモデル。シリーズ最高のタッチとサウンドで、グランドピアノさながらの演奏体験をお楽しみいただけます。 Clavinova(クラビノーバ)を奏でる喜び グランドピアノを演奏したい。けれども、住宅環境などのさまざまな制約により実現が難しい。そんな課題を解決し、グランドピアノさながらの豊かな演奏体験を届けるのがクラビノーバ CLPシリーズです。ハイレベルな練習や弾き込みに応えられる高い品質に加え、ピアノ練習を楽しく効果的に行なうための機能を豊富に搭載しています。 ピアノの演奏を学ぶ際の一番の理想は、グランドピアノによる練習でしょう。それは、グランドピアノには無限の表現力が備わっているため、奏者はピアノと向き合って練習するという過程の中でそれを引き出し、イメージどおりに表現する技術を自然に学ぶことができるからです。 そんなグランドピアノの本質を理解しつくられたクラビノーバ CLPシリーズでは、グランドピアノと同じように繊細なタッチの違いによる音色変化を学び、高い表現力を身につけることができます。 コンサートグランドピアノの個性を味わう クラビノーバには世界に名を馳せる2つのコンサートグランドピアノの音が搭載されています。そのひとつはヤマハ最高峰のコンサートグランドピアノ「CFX」。力強くきらびやかで表情豊かなその音色は、世界各地のコンサートホールでピアニストたちに高い評価を受けています。また、長い歴史の中で愛され続けるウィーンのピアノブランド、ベーゼンドルファー社のフラッグシップモデル「インペリアル」は、豊かな色彩と木のぬくもりを感じさせる響きが特長です。それぞれの個性を忠実に再現するため、88鍵盤すべての音色を1音1音丁寧に収録するだけでなく、一台のピアノとして調和のとれた音色になるよう細やかに調整を行っています。また、CLP-800シリーズには、ピアノの原型である「フォルテピアノ」の音も搭載されています。現代のピアノとは異なり、音が細く減衰が速いのが特徴です。モーツァルトやベートーヴェン、ショパンといった名だたる作曲家たちが生きた時代のピアノの音で演奏することで、彼らが楽譜に込めた想いに触れることができます。バーチャル・レゾナンス・モデリング(VRM) 楽器全体が振動して生まれるふくよかな共鳴音は、グランドピアノの魅力のひとつです。CLP-800シリーズでは、「バーチャル・レゾナンス・モデリング(VRM)」という画期的な技術に新音源チップの効果が加わり、これまで以上に自然で豊かな共鳴音の響きを緻密に再現しています。VRMにより、鍵盤を押す瞬間やペダルが踏まれたタイミング、さらにはその強さに応じて、弦の振動が他の弦や響板に伝播して生まれる複雑で多彩な共鳴音をシミュレートし、変化に富んだ音色を創り出します。さらに、アリコート、弦、響板全域、側板が生み出す響きに加え、ダンパーが上がり、弦が開放される時に生じるダンパーノイズまでシミュレートします。グランド・エクスプレッション・モデリング 「グランド・エクスプレッション・モデリング」とは、従来の電子ピアノでは音色の変化が乏しく音楽的にどうしても平板な演奏になりがちだったものを、変化に富んだ立体的な音楽表現を可能にする画期的な技術です。 グランドピアノは、タッチの強弱やスピード、深さなどの繊細な奏法の違いに対して、ハンマー、ダンパー、弦といった内部の機構の都度異なる振る舞いが互いに影響し合うことで、無限大の音色表現で応えます。これは奏者の意図に応じた音色変化と、演奏によりピアノ内部の物理現象で自然に起こる音色変化の両方によって生まれるものです。そしてピアニストはグランドピアノを弾く際に、鍵盤を押し込む間にどのように力を込めるか、鍵盤を戻す時にどのように音を残しながら消していくか、今鳴っている音に次に弾く音をどのように重ねていくかといったさまざまな細かい表現を演奏に込めています。 これらの演奏表現は、従来の電子ピアノのような単純な音源アルゴリズムで表現できるものではありません。それをCLP-800シリーズでは「グランド・エクスプレッション・モデリング」によって、タッチの強さ、速さに加えて新たに深さをセンシングすることで、奏者による意図的なタッチの違いから生み出されるグランドピアノの細かな挙動、すなわちその内部で起きる物理現象を一つひとつ緻密に計算。電子ピアノであってもこれまでにないレベルの豊かな表現力を生み出しているのです。 これはひとえに、グランドピアノの製造を行ってきていることで、ピアノという楽器に関する豊富な知見があるとともに、音に関する高度なデジタル技術を持つからこそ生まれた技術といえます。グランドアコースティックイメージング グランドピアノは、大きな響板や筐体全体で音を増幅し、空間に響かせる楽器です。一方、電子ピアノは、スピーカーを介してしか音を出せないという構造上の制約があります。それにより、電子ピアノではグランドピアノと比較して、奏者・聴者それぞれの位置によって音の聴こえ方にもばらつきが生じやすいという特徴があります。 このような構造上の制約を可能な限り克服するために、ヤマハは120年以上に及ぶアコースティックピアノ製造から得た知見や技術と、ホールや劇場といった商業空間向けの高度な音響設計技術をかけ合わせ、CLP-800シリーズの音響設計に応用しています。グランドピアノの音がどのあたりにどのように放射されるのか、どういった成分の音がどこから放射されるのかといったことを解析した上で、CLP-800シリーズの低・中・高各帯域のスピーカーの配置、向き、音量バランスを最適化しました。さらに、ディフューザーや、壁から反射する間接音をも活用するためのバイディレクショナルホーンで、音の広がり感を強化しています。これらにより、空間全体への自然な音の広がりや奥行き感を再現し、電子ピアノであってもグランドピアノの音場に近い状態を作っています。 加えて、電子ピアノの音響設計で重要なのは、実際にCLP-800シリーズが使われるさまざまな住宅環境においてもベストに近い音響特性が得られるようにすることです。そのためには、床や壁からの反射などの影響を完全に排除できる理想的な開発環境が必要です。ヤマハ本社には国内最大級の無響室があります。この無響室でスピーカーの音響特性を測定しながら、楽器が使用されるさまざまな環境の違いを考慮し、調整を行っています。ヤマハは、大規模な研究開発施設を多数有することで、より高度な製品開発を実現しています。 *グランドアコースティックイメージングはCLP-885/875に搭載グランドタッチ(TM)鍵盤/グランドタッチ-エス(TM)鍵盤 ヤマハが独自に開発する「グランドタッチ(TM)鍵盤」「グランドタッチ-エス(TM)鍵盤」の開発コンセプトは、『グランドピアノアクションを感じる鍵盤』です。これは、一鍵一鍵のそれそのものの重さをグランドピアノの鍵盤と同じにしたり、グランドピアノのアクション機構を模倣したりするようなアプローチを意味しているわけではありません。この鍵盤機構の特長は、演奏時に指先にかかる荷重やその変化がグランドピアノのそれらに近いことです。 ピアニストはグランドピアノを演奏する際に、鍵盤の先にあるハンマーを動かしてどう弦を打てば意図した音になるのかを考えながら、繊細にタッチをコントロールしています。つまり、奏者は鍵盤の押し始めから底につくまでのたった10mmのストロークの間におこる、指先にかかる荷重やその変化をつぶさに感じ取って、音を作っているのです。このように、奏者視点で音作りの本質を見極め、指先に感じる荷重やその変化に着目するという独自の開発アプローチにより、「グランドタッチ(TM)鍵盤」「グランドタッチ-エス(TM)鍵盤」ではグランドピアノの鍵盤と同じ感覚で演奏できる優れたコントロール性を実現しています。 グランドピアノを演奏する際、奏者は指先に2種類の荷重を感じています。1つは、鍵盤を押し始めてハンマーが上に振り上がって打弦するまでの間にかかる荷重、もう1つは、ハンマーが打弦した時に感じる荷重です。グランドピアノの大きなハンマーアクションを動かす時には、より多くの荷重が指にかかっていますが、グランドピアノのアクションと比較すると電子ピアノの鍵盤ユニットは非常にコンパクトであるため、その荷重を同じにするためにはさまざまな工夫や発想の転換が必要です。 CLP-800シリーズの鍵盤では、グランドピアノと同等の荷重を再現するために、ハンマーウェイトの重さを調整したり、内部パーツの形状・素材・動き方などを工夫したりすることで、指にかかる絶対的な荷重量を、グランドピアノアクションを演奏したときの荷重に近づけています。また、鍵盤ユニット内のストッパーの位置や素材を調整し、動くハンマーの衝撃をしっかり止めることで、グランドピアノで鍵盤を押し切った時の感覚も再現しています。もちろん、これらの荷重は、タッチの強弱によっても変化しますが、このような工夫により、「グランドタッチ(TM)鍵盤」「グランドタッチ-エス(TM)鍵盤」では、弱打から強打まで幅広いレンジの荷重の違いを忠実に再現しています。グランドタッチ(TM)ペダル 「グランドタッチ(TM)ペダル」は、外観デザインがグランドピアノのペダルに近いだけではなく、踏み込み・踏み戻しの際に足にかかる荷重の感覚をグランドピアノと同じように感じながら操作できるペダルを目指しています。その構造は従来のヤマハの電子ピアノ用ペダルとはまったく異なるものへと刷新されており、ペダルの支点位置や支点からペダル先端までの長さ、ペダルの角度などをグランドピアノと同じにすることで、ペダリング時にグランドピアノのペダルと同様の軌跡を再現しています。これにより、奏者はグランドピアノのペダルと同じように力をかけることができます。また、ピアニストは音の響きを緻密にコントロールするべく、ハーフペダル付近のペダルの深さを注意深く微調整しているため、ペダリング時には適切な深さでコントロールできて、止めたいところで簡単に止められることも重要です。「グランドタッチ(TM)ペダル」では、回転機構の形状や素材・位置の工夫による摩擦の力を利用することで、弱い力でもペダルを保持しやすく、止めたい位置で止めやすくなっています。これは、その感覚がグランドピアノに単に近いというだけではなく、繊細なニュアンスを表現するためのコントロール性にも寄与しています。このような革新的な進化により、「グランドタッチ(TM)ペダル」では足先をペダルに置いた瞬間の感覚から繊細なペダリングに至るまで、すべてをグランドピアノのそれに近づけています。 さらに上位モデルCLP-885/875のダンパーペダルには「GPレスポンスダンパー」を搭載しています。CLP-800シリーズでは、ペダルの効果が出始めるところでグランドピアノのダンパーが動く重みを再現するだけでなく、ペダルの深さをセンシングしダンパーを持ち上げる感覚と音色の変化を正確に合わせこむことに成功しました。これにより、いつでも正しいハーフ位置でペダリングの練習をすることができます。上位モデルCLP-885/875では、「グランドタッチ(TM)ペダル」と「GPレスポンスダンパー」の組み合わせにより、これまでにないレベルでグランドピアノらしい本格的なペダリングが可能です。