グンネルス・ライブラリー所蔵の特別コレクションを トロンハイム交響楽団の「バロック・アンサンブル」が演奏 歴史的遺産のある街トロンハイムを感じる1枚
★トロンハイムは、聖オラヴ・トリュグヴァソンによって町の基礎づくりが行われた997年以後、大きく発展し、ノルウェーの政治、宗教、文化の中心地として栄えました。18世紀、大北方戦争 (1700-1721) が終わると、商人たちが木材、干し魚、トロンデラーグ鉱山の銅などの輸出を再開。トロンハイムは大きな経済発展を経験しました。贅沢な社会環境は、さらなる生活の豊かさを求め、ヨーロッパ大陸から最新のファッション、文学と音楽がもたらされました。 このアルバムでは、トロンハイムの「グンネルス・ライブラリー (Gunnerusbibioteket) 」の所蔵する特別コレクションに収められた作品が4曲、トロンハイム交響楽団の「バロック・アンサンブル」によって演奏されます。このコレクションは、プロイセンのメーメル (現、リトアニア、クライペダ) からトロンハイムに移り、この都市の文化と生活に欠かせない人材として活躍したヨハン・ダニエル・ベッリーン Johan daniel Berlin (1714-1787) と彼のサークルの所有だったとされ、デンマーク=ノルウェーの音楽がヨーロッパ大陸の器楽作品の豊かな土壌の上に育ったことを知る貴重な手がかりと考えられています。 《チェンバロ、ヴァイオリンとチェロのためのソナタ》を作曲したヨハン・ヘンリク (ハインリヒ) ・ベッリーン Johan Henrich (Heinrich) Berlinは、ヨハン・ダニエルの三人の子のひとり。トロンハイムで生まれ、父から音楽を教わりながら、父の所蔵する膨大な音楽理論書、手稿譜、楽器コレクションを自由に使い、自身の音楽を深めていきました。オルガニストとして活躍、トロンハイム音楽協会 (Det Trondhjemske Musikalske Selskap) の創設にも加わりました。バロック期のノルウェーを代表する作曲家とみなされ、『ベッリーン父子の音楽』 (Simax PSC 1331) などに作品が収録されています。 ヨーゼフ・メック Joseph Meckは、ラインラント=パラティナーテのクネーリンゲン生まれ。ドイツで初めてヴィヴァルディをモデルにしたヴァイオリン協奏曲を書いたひとりとされ、『XII Concerti a Cinque Stromenti (5つの楽器による12の協奏曲) Op.1』が、1720年ないし1721年にアムステルダムで出版されました。《ヴァイオリン協奏曲 ト長調》は、この協奏曲集の第9曲。ライブラリーの整理番号「XM 141」の作品です。 作者不詳の《ヴァイオリン協奏曲 ハ短調》は、タイトル・ページに書かれた「Del Sigr.Opfermand (オプフェルマンド氏) 」の作と推測されるものの、この人物に関する詳細は不明とされています。ヴィヴァルディの《かっこう》の協奏曲は、彼の当時もっとも演奏された協奏曲のひとつとされる作品です。 アルバムの録音セッションは、2021年6月にトロンハイムのラーデモーエン教会で行われました。プロデューサーのモッテン・リンドベルグ Morten Lindbergが、「素晴らしい響き」という、カントゥスの『ユグドラシル』の録音された教会です。