タロッコ 在来系サンギネロの枝変りである。 アントシアニン色素を持つ、濃赤色の品種である。 風に弱いため、冬季には落葉が懸念される。かいよう病には罹病性で、葉にも果実にも発生する。ブラッドオレンジの中では最も果実が大きく収量はあるが、温州には劣る。 果皮はやや厚く剥きにくい。果面はやや粗く、黄橙色に赤い色素が発現する。果肉は良く締まり多汁。完熟では果汁に赤い色素が濃くでる。風味は爽快味に富む。2月下旬から収穫され、3月中旬から4月上旬にかけて出荷される。 ・来歴 発生は今世紀初頭と言われており、詳細は不明。在来系サンギネロから派生したといわれているサンギネロ・モスカートではないかと思われる。アントシアニン色素を持つ、濃赤色の品種に属し、大果であるこや外観が美しいため、イタリアの銘柄品種となったばかりでなく、スペインやモロッコでも多少栽培されている。わが国への導入は昭和50年代と思われ、当時は「血みかん」と言われ、敬遠される場合があったが、地球温暖化に伴い栽培が容易になったことや嗜好の多様化により、近年では、愛媛県の南予地方を中心に産地化が進んでいる。 ・樹の特性 樹勢はやや強く、樹の大きさは中程度で、モロやサンギネロより節間が長く、着葉数が少ない。風に弱いため、冬季には落葉が懸念される。冬季の落果の他、3月以降の高温下でも落果する場合がある。かいよう病もには罹病性で、葉にも果実にも発生する。ブラッドオレンジの中では最も果実が大きく収量はあるが、温州には劣る。 ・果実特性 ブラッドオレンジの中では、これまで最も大果であったが、近年では、イタリアの研究所で倍数体育種によってTACLE(タックレ)やMANDARED(マンダレッド)など、種無しの優良な系統も開発されはじめている。 通常は、果梗部に顕著なカラーを呈し、これに放射条溝が走る。種子は2,3個ないし無核。内種子のカラザは紫赤色。果皮はやや厚く剥きにくい。果面はやや粗く、黄橙色に赤い色素が発言する。果肉は良く締まり多汁。完熟では果汁に赤い色素が濃くでる。風味は爽快味に富む。