現代アルザスワインのトップクラスに君臨する、信念と革新の生産者。
「濃密、新鮮、暗さ」- リクヴィール村のリウ・ディ「エンゲルスレーベン」「ローゼンブルグ」より。リースリングとピノ・グリの混植・混醸。合計0.58ha。平均樹齢30年。シリカ・泥灰土質土壌。収量40hl/ha。12ヶ月間シュール・リー熟成。 ドライフルーツを想わせる甘い果実のアロマに、ほのかにスモーク香、スパイスのニュアンスも重なり、ダイスらしい上品かつ官能的な香りがグラスから立ち昇ります。 産地:フランス/アルザス 品種:リースリング ピノ・グリ 容量:750ml現代アルザスワインのトップクラスに君臨する、信念と革新の生産者。 Marcel Deiss マルセル ダイス 1744年から続くダイス家は、フランス・アルザス地方ベルクハイム村に位置。1947年に故マルセル・ダイス氏がワイナリーを設立し、1975年から3代目であるジャン・ミッシェル・ダイス氏、2012年からは息子のマチュー・ダイス氏が経営を行っています。 創業当時約12haだった所有面積は、現在、9つの村に220区画、合計32haの斜面畑を所有するほどに拡大。アルザスにおいて先駆的に「テロワール」の概念を重視したワイン造りや、プルミエ・クリュ格付けの法令制定に向けた活動など、第一線の生産者として活躍を続けています。 従来のアルザスワインは品種の個性が最優先されていたためブレンドは行わず、ラベルに単一ブドウ名を明記するのが一般的でした。そのためアルザスのワイン法も同様に、エチケットへの品種表記が必須。しかし、ダイス氏は同じ品種でも土地によって全く異なる味わいになるワインの個性、つまりはテロワールの重要性を謳いました。そのテロワールを重視する考え方は、アルザスの生産者の間にゆっくりと浸透していきます。 そんなマルセル・ダイスの考え方は、AOC法の改正となって結実。ラベルへのブドウ品種の記載義務がなくなり、更に1975年に制定されたAOCグラン・クリュでは、使用が認可されているブドウ品種はリースリング、ゲヴュルツトラミネール、ピノ・グリ、ミュスカの4品種のみだったところ、例外的に複数品種のブレンドも認可。アルザスワイン界に大きな影響をもたらしたのです。 現在も、ミシェル氏はアルザス・グラン・クリュ委員会の一員として、グラン・クリュに次ぐ位置づけのプルミエ・クリュ格付けの法令制定への取り組みに参加。アルザス内においても確かな地位を築き、アルザスワインの改革を進めています。 マルセル・ダイスでは、ブドウを手摘みで収穫した後、厳しい選別が行われます。アルザス地方のブドウの収穫量は1haあたり7,800リットルが一般的ですが、マルセル・ダイスでは従来の半分以下の3,300リットル。スタンダード・キュヴェで、ブドウの樹1本当たりの収量は約640ml、プルミエ・クリュで約350ml、グラン・クリュにおいては何と約166mlと、グラン・クリュにおいてはグラス1杯~1.5杯分しか取れない程です。 また、圧搾工程では、一般的なワイナリーが1回のプレスに約4時間で終わるところ、マルセル・ダイスでは12時間~16時間かけて、皮に含まれる全ての成分を抽出。顆粒が汗をかくようなイメージで、じわりと果汁が染み出て、圧搾が終わった時点で果皮が全く破れていない状態を極意としています。発酵後出来上がったワインは、マロラクティック発酵はほぼ行わず一年間澱と共に熟成。キュヴェごとに最適なタイミングでリリースされます。 このように、ブドウの樹を植えるところから、ワインのリリースに至るまでの過程それぞれを突き詰めて生み出されるマルセル・ダイスのワインは非常に多層的かつ複雑。美しい芳香と高い凝縮感を備えたワインは世界各地の評論家やワインラヴァーの心を掴み続けています。