トリンバック リックヴィール村のブドウ栽培農家として、1626年にその歴史の始まりを刻むトリンバック家が、現在のリボヴィレ村に移り、ワイン醸造業者としての名声を博すようになったのは19世紀末。フレデリック・エミール・トリンバックの時代になってからです。彼は1898年、ブリュッセルで行われた国際品評会にワインを出品し、最高位の賞を受けました。今日なお、フレデリック・エミールのイニシャルが社名に冠されているのは、そのような理由からです。また、フレデリック・エミールの名前は同社上級レベルのワインにも用いられ、リースリング・キュヴェ・フレデリック・エミールとなっています。 《グラン・クリュ》 同社はグラン・クリュ・ロザケールの中に、アルザスのロマネ・コンティと呼ばれる単一畑のクロ・サンテューヌを単独所有しています。この1.3ヘクタールの畑にはリースリングのみが植えられており、イギリスのワイン評論家、クライヴ・コーツは「世界で最高のリースリング」と評しているほどです。ところがフランス政府は、アルザス・ワインにおける、単一ブドウ畑の名前とグラン・クリュの名前との併記を認めず、トリンバック家は名声の高いクロ・サンテューヌの名を選んだのです。トリンバックはガイスベルクとオステルタークの2つのグラン・クリュにもブドウ畑をもっていますが、グラン・クリュの拡大に懐疑的な彼らは、ラベルにグラン・クリュ名を載せることは決してありません。
■ トリンバック リースリング・レゼルヴトリンバック社のリースリングはアルザス地方では偉大で伝統的なブドウ品種の代表です。偉大なリースリングとは、始まりにも述べましたが、熟成度、酸味、長い余韻のバランスの取れたきれの良い辛口です。 トリンバック社では“レゼルヴ”に、通常のリースリング種より豊かで複雑味があるブドウを使います。また、アルザス地方の最高のリースリングを生産する村の一つとして数世紀に渡り知られているリボヴィレ村のブドウのみを使います。緑色がかった縁取りを持つ美しい色をしており、熟成してもよく、また今でも充分に飲み頃に達しています。各蔵元により、Reserveという名前のワインの定義は違いますが、トリンバック社では主にブドウの選別に力を入れています。Reserveは自社所有の優れた畑を選び、更にそのぶどうを房ごとに選果したものを使っています。