パスカル・コタ フランス・ロワール地方のサンセールの中でもひときわ異彩を放つ「コタ家」。あのディディエ・ダグノーやアルフォンソ・メロアンリ・ブルジョワに並ぶ偉大な生産者です。 ソーヴィニヨン・ブラン発祥の地ロワール。その中心となるサンセールにドメーヌを構え、世界中のソーヴィニヨン・ブラン生産者の目標となっている最高の作り手がパスカル・コタとフランソワ・コタです。パスカルとフランソワは従兄同士で、2 人の父親は共同でドメーヌを運営していました。その伝統的な造りをそのまま引き継いでいるため、ワインの味わいに大きな差はなく、ラベルも瓜ふたつです。パスカル・コタのサンセールは、サンセールがいかに素晴らしいかをよく表しています。今では既にこの地域では当たり前となっていますが、単一畑のブドウからワインを造ったのはコタが初めてでしたし、最初に無濾過で瓶詰をしたのもコタでした。畑はサンセールの中でも最良の区画の 1 つに挙げられ、手作業でないと作業ができないほどの急斜面に位置します。この地形と自然環境を生かし、ビオディナミ農法が話題になる遥か以前から、有機栽培や古典的な醸造を続けてきました。 収穫は完熟を待って遅摘みし、全て手作業で収穫・選果します。古典的なバスケット・プレス(高級シ ャンパン・ハウスで使用されているものと同じもの)を使用し、人力で圧搾します。これは非常に穏やかな圧搾工程で、質の高いマス トが得られます。ワインは全て樽発酵させていますが、独特の醸造技術で樽を感じさせない円やかな味わいを引き出しています。マ ロラクティック発酵、濾過処理はせず、月の満ち欠けに合わせて瓶詰します。こういった様々な努力により長期熟成に耐える卓越し たワインを生み出しています。
■2023年ヴィンテージ情報この年のロワール地方は、雨や熱波に見舞われ、生産地域や品種によって品質に差異がみられました。中でもサンセールやプイィ・フュメの生産地域は、比較的問題が少ないほうでした。7月下旬から 8月にかけて非常に乾燥していたため、9 月に降った雨は恵みの雨となり、果実は成熟とともに重みを増していきました。しかし、9 月中旬に嵐が発生し、急遽収穫を早める必要があったため、人員の確保に苦労した生産者もみられました。地域により違いはあるものの、この年は、よく熟した豊かな果実の香りや味わいを持つワインに仕上がっています。
■ パスカル・コタ サンセール・ブラン レ・モン・ダネ洋梨を思わせる爽やかな果実味と、豊かなミネラルが、どこまでも続く余韻の長い後味を残します。豊かな残糖量が、豊かなミネラルをしっかりと包み込んでいます。引き締まった味わいで、素晴らしい熟成のポテンシャルを感じさせます。