幽霊列車

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幽霊列車

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1,933 円 (税抜き)

西せい暦れき二〇〇七年七月某ぼう日じつ。 あたしはひとつの決意を胸に、駅へ向かった。焼けつくような陽ひ射ざしの中、自転車なら七分ほどで済む道のり。だけど、今日のあたしは徒歩を選んだ。 前後左右、ざっと見渡してみると、お見事といいたくなるくらい、二足歩行型の生物はあたししかいない。田んぼ。田んぼ。その向こう側もまた、田んぼ。 季節柄、あたしの視界を埋うめるのは、まっさらな緑色。 絵に描いたような、ここは退屈な田舎いなか町まち。携けい帯たいの電波すら届きやしない。 ゴツゴツとしたあぜ道を、ふらふら歩く女子の後ろ姿は、はたから見れば夢遊病患者のそれに見えたかもしれない。 都会人が見たら壮観かもしれないけど、住民にとってはうんざりするような景色から眼を逸そらし、あたしはiPodアイポッドの再生ボタンを押した。イヤホン越し、荘そう厳ごんなアンサンブルが流れ始める。 映画『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のサントラの一曲目、“OVERTURE”だ。ちなみに、あたしのiPodには、このサントラに収録されている全七曲しか入ってはいない。 五曲目の“IN THE MUSICALS”が終わる頃、あたしは目的地に辿たどり着いた。 そこは舞まい奈な駅という名の、古ぼけた無人駅。 駅舎の周辺はいつにも増してひっそりとして、人の気配はない。画面が切り替わりますので、しばらくお待ち下さい。
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アンサンブル あたししかい MUSICALS OVERTURE