数百軒のシャンパーニュRMを訪問した上で確信をもって言えることは、「プルミエ・クリュ」(格付け90〜99%)の41の村々には、とりわけ秀逸な造り手たちがひしめいているということです。また、当たり外れが非常に大きいグラン・クリュと比較して、プルミエ・クリュの造り手たちの作品は総じてレベルが高いという特徴もあります。 彼らは皆口々に、「グラン・クリュの奴らには負けない、負けていない」と言いますが、その反骨精神こそが、かように美味しいシャンパンを造る原動力でありましょう。 「マチュー・プランセ」は、「マルイユ・シュル・アイ」の東隣村、格付け95%の「ビスイユ」出身のミッシェル・マチューと、「アヴィーズ」の西隣村で同じく格付け95%の「グローヴ」出身のフランソワーズ・プランセが結婚して、1969年に誕生したRMです。 この2つの村の畑はいずれも、ブラン・ド・ブランにとって最高の土壌たる白亜(石灰)質土壌ですが、それでもアイ周辺の前者の畑と、コート・デ・ブランの後者の畑ではテロワールがかなり異なり、「2大白亜質産地」として、双方が最上と目されています。 ご紹介する作品「ブラン・ド・シャルドネ」は、この2つの産地のシャルドネをグローヴ70%、ビスイユ30%の比率でブレンドしたブラン・ド・ブランで、二大白亜質のシャルドネの醍醐味を1本で深く堪能できる、同RMの看板キュヴェです。 造り手のミッシェル・マチューは、結婚して独立するまでの3年間、「ボランジェ」で働いていました。(彼のおじいさんもお父さんも生涯ボランジェで栽培に従事しました。特にお父さんのオディール・マチューは、当時のボランジェの栽培長としてつとに知られます)。 「ボランジェから学んだ極意は、長期ビン熟成させてから販売することに尽きます。香り、味わい、泡のきめ細かさ、余韻の長さ等々、まったく別物になります」(ミッシェル・マチュー)。ご紹介する作品は、瓶詰め後4〜5年間寝かせてからはじめて、市場にリリースされます。 シャンパーニュ マチュー・プランセ プルミエ・クリュ ブリュット ロゼ グローヴ産のシャルドネ70%、ビスイユ産のピノ・ノワール30%のシャンパンに、ビスイユ産のピノ・ノワール100%の赤ワインを12%アサンブラージュしたロゼ。赤ワインは自家醸造で、ブルゴーニュ産の3回使用樽で2年間熟成させたものです。平均樹齢30年。3年半〜5年間ビン熟成。ドザージュは7g/l。ボトルにエッチングしてある女性の絵は、マダム・マチューがデザインしたものです。「このロゼは、日曜日の午後4時くらいにアペリティフとして楽しんでいただけるものを目指しています。辛口ですが、完熟したさくらんぼのような、ほんのりした果実の甘みがあります」(ミッシェル・マチュー)。フランスの女性に大変な人気を博しているロゼです。