≪フリーマン待望の自社畑≫ ●[RP94点/AG93点]
輝
新Cuvee完成 ◎その名も「輝」。2005年取得、2006年植樹、そして2011年に初収穫を終えたフリーマン待望の自社畑、「グロリア」からの新キュヴェ! ▼ 9/5 W社ミッドタウン試飲会 Best Bottles! 2018年9月5日、六本木はリッツ・カールトン東京で開催された、カリフォルニア系国内二大インポーターの一方、W社主催の業界関係者限定試飲会に参加させて頂きました。同社が誇るフラグシップのピーター・マイケルやコッポラ系、アイズリーやコンティニュアムらも並ぶ中、気になったワインをあれこれ試飲させていただき、独断と偏見度全開の、「私的ベスト5」を選ばせて頂きました。 そして当日の「ベスト・ピノ@エレガント編」…それがフリーマンの最新ピノ、グロリア・エステートでした(’15年にて)。 当日、アキコズ・キュヴェは出品されていなかったのですが、それを残念に思わせぬほど素晴らしかったのがグロリアでした。自社畑の完成から樹齢の高まりを経て、年々クオリティが増しているように思います。 ◎「エステート化」への大きな流れ。 嘗て『ウィリアムズ・セリエム』や『パッツ&ホール』らの台頭により、自社畑を持たずに外部買い付け果実からの、しかも高級高品質の単一畑に特化したワインを造ることで注目を浴びた、所謂「(プレミアム)ネゴシアン・スタイル」。 今、この手法で成功を収めた人気の大物たちが、次々と自社畑を取得。そこからエステート・ワインをリリースするケースが相次いでいます。 中でも最も話題となった造り手の一つが『シン・クア・ノン』。 以前から段階的に、かつ複数の自社畑を整備しつつありましたが、そのうちの一つである『Cumulus Vineyard』から満を持して発表された、初の完全エステート・ワイン『Next of Kyn』は、すでに三度のRP100点
を受賞。 現地マーケットでも最高値を付けた際には一本"$2000"を越えるなど、瞬く間に高額取引の対象となりました。 一方ソノマに目を向ければ、上述セリエムのほか、全米で唯一「ピノ、シャルドネ、シラーの全てがパーカー五ツ星格付け」を受けるというファンタジスタ、『デュモル』がグリーン・ヴァレーに自社畑を取得。 ソノマの新興小区画、フォート・ロス・シヴューに畑を構えたのは『レッド・カー』、『フェイラ』、『パルメイヤー』、『シュレイダー』といった面々。 そこから、それぞれ『レッドカー・エステート』、『フェイラ・エステート』、『ウェイフェアラー』、『ボアーズ・ヴュー』をリリースし、やはりワイナリーを代表する名作になりつつあります。 サンタ・バーバラでは『ブリュワー・クリフトン』もやはり自社畑を取得。こちらに至っては完全エステート化を完了させました。 本邦初公開として弊社よりご案内させて頂いた自社畑版の『マシャド』は、完成直後ながらもWE95点/RP94点/WS94点
と三大誌制覇という貫禄の仕上がりとなりました。 最後に、『コスタ・ブラウン』。2013年に初の自社畑を取得。今後は生産量の三割以上をこのエステート・ヴィンヤードから賄うそうですが、何より驚いたのはその買収先。なんと彼らが購入したのは、かの『キーファー・ランチ』! 数々のトップ・プロデューサーをクライアントに抱える栽培家のビッグ・ネームです。購入したのは全体の2/5程度だそうで、今後もキーファー・ランチは存続する方向だそうですが、本当に驚かされました。 前置きが長くなりましたが…2005年、デュモル同様、ソノマはグリーン・ヴァレーのワイナリに隣接する地所に自社畑を取得したのがフリーマン。 2006年に植樹を行い、「輝」…グロリア(Gloria)・エステート・ヴィンヤードと名づけました。 ここは以前リンゴ園だったのですが、その所有者の名前と、そして偶然にもフリーマン夫妻が最初にこの地を訪れた1985年にやってきたハリケーンの名前、その双方が「グロリア」だったことから付けられたものです。 ▼グロリア(輝)・エステート・ヴィンヤード 8エーカーばかりのこの畑は、沿岸から10マイルほど、最初の谷から尾根に上がるヒルサイドにあり、土壌はゴールドリッジ・ソイル。 十分な日照がありながら、ルシアン・リヴァーからの霧により基本的には冷涼で、女帝ヘレン・ターリーが最高のピノ造りに必要な土地として言うところの「クール・エリアのホット・スポット」という条件を完璧に満たしています。 6つの区画に別れ、スワン、ポマール、115、マティーニ、ラ・ターシュ、カレラと異なるクローンが植えられています。これらは全てアキコさんのお気に入りのクローンだそうで、区画ごとにフレンチ・オークを特注しているのだとか。 認証こそ受けていませんが、可能な限りオーガニック&バイオダイナミック農法を取り入れており、畑に使用する水と、アキコさんらが日常生活で飲料として使用する水は同一のものだそうです。 初収穫は’11年。しかし単一畑として醸すほどの量が採れなかったことから、この年はAVA版のルシアン・リバー・ヴァレーに使用。’12年に満を持してファースト・リリースを迎えました。この度のご案内は’19年。まだ8年目ですが、このクオリティ。 アキコさんによれば、「2019年は、素晴らしかった2018年の合わせ鏡。ただ、収穫量はわずかに少なくなりました。」とのこと。 控えめなのに深く、上品で芳しいこの香りだけで、何か約束されたようなものを感じます。飲めばシルクのようにナイーヴでセンシャルで…。 素材としての絹は、高級感だけでなく清潔感やノーメイクに近い純潔さをイメージさせますが、グロリアの味わいがまさにそれ。 アキコズ・キュヴェもやはりその旨みの豊かさに反してウェイトを感じさせない造りがあるものの、よりふくよかなアキコズ・キュヴェに対してグロリアはピュアな印象。 ただしそれが薄さとして、或いは小ぶりに感じることは一切ありません。 アキコズ・キュヴェが横への広がりなら、グロリアは大人のトーンを深く深く沈降させていくことの出来る果てしない縦の奥行きを感じます。 醸造家エド・カーツマン&副醸造家アキコ・フリーマン…という肩書きは過去のもの。現在ではアキコさんが醸造責任者に就いており、それを本当に誇らしく感じる、感激のピノ・ノワールです。 ◎エレガント系カリ・ピノがお好みであれば、損はさせません…是非一度。■パーカー監修アドヴォケイト誌94ポイント(ワイナリー年間No.1)
■ヴィノス93ポイント