≪Yanagiya Discovery Wine of the Year 2017≫('13年にて) ●[GS95点/TA94点/PG94点]
孤高の
カベルネ ◎2017年度のディスカバリー・ワイン・オブ・ジ・イヤー。 「美味しいこと」を大前提に、「最も驚きや意外性で楽しませて頂いたワイン」…として、2017年のヤナギヤ的ディスカバリー・オブ・ジ・イヤーとしてご紹介させて頂いたカベルネが、この『レストレス・リヴァー』でした(’13年にて)。 南ア・カベルネの最適地といえば、ステレンボッシュとして異論はどこからも挙がらないでしょう。 例えばアトキン・レポートの2021年度版でも、ボルドー・ブレンドとカベルネのワインズ・オブ・ジ・イヤーに選ばれた全24作品のうち、18本までもがステレンボッシュからのものでした。 南ア愛好家の方々に、自身のベスト・カベルネを選出頂いたとして、ブーケンハーツ、スターク・コンデ、カノンコップ、グレネリー、ウォーターフォード、ル・リッシュ、ダーマシーンetc...やはり挙がる名前はステレンボッシュ産駒になるのではないかと思います。 そんな中で、あまりに異端な"ウォーカー・ベイ産"カベルネ・ソーヴィニヨンがこのレストレス・リヴァー。 南ア最南端、海に近いヘメル・アン・アード・ヴァレーはご存知ピノとシャルドネの聖地。この冷涼な地で、まさかの独学によるカベルネ造り…。この時点で天邪鬼なヤナギヤ的にはシビれます。 ◎独学とは…習わないではなく、習う相手がいなかったから? 南ア全体の栽培面積の1/5ほどをも占める「分母の大きさ」、そして南アで二番目に古いという「長い歴史(経験の蓄積)」、そしてホット&ドライという「理想的環境」。ステレンボッシュは、それら全てを有する南ア・カベルネの聖地です。 にもかかわらず、何ゆえ熟期が遅く、十分に完熟せねば青みが出てしまうカベルネを、敢えて冷涼な沿岸地で栽培するのか。 深読みして、「涼しいといっても、土地は広い。アッパー・ヘメル・アン・アードにだって、スポット的に暖かい場所があるのでは?」などとも思いましたが、レストレス・リヴァーの自社畑(左画像)は、エリアの平均気温よりなんと更に2〜3度低い…というのですから、もう、ちょっとよく判りません。寒暖差>平均気温ということなのか? 1999年に植樹をはじめ、徐々に畑を拡張(といってもまだ2.4ha)していったクレイグ・ウェッセルのワイン造りは、近隣の知人や生産者に相談し、コミュニケーションを取りながらではあるものの、完全独学だと言います。 このような場所でこれほど高品質なカベルネを造る人物が他にいないのですから、習う相手が存在しないのです。独学というよりも、パイオニアなのだと言うべきでしょう。 ◎ヴィンテージが2018年になりました。2023.8更新
というわけで、当カベルネのご紹介も6年めを迎えました。2023年時点で現行がまだ’18年。この熟成感もここの魅力の一つです。 グレッグ・シャーウッドは「懐疑論者を困惑させ続けるカベルネ」と呼び、GS95点
を付与。 このような冷涼地…冷涼すぎる土地で、熟したカベルネが造れるわけがない…考える者たちを片っ端から虜にさせていっています。 年々入荷量が減っており、今年はまだ飲めていません。以下に前作コメント&アトキン評を掲載いたします。 「南ア・カベルネ(ステレンボッシュ・カベルネ)にしばしば見られるバリック感…樽の香味や焦がした芳ばしさ、あるいは強く凝縮感ある果実味、はたまた頑健なタンニン…そういったスタイルとは一線を画す、明らかに冷涼産地をイメージさせるカベルネです。 果実甘味の十分な密度がありながら、がっちりしたフルボディ…というのではなく、フルーティな優しさ、或いは冷涼感を感じさせるミドル・ボディ。 南アのカベルネとは思えぬほどソフトなタンニンと滑らかな口当たりがあり、これまでになかった洗練性と旧大陸のスタイルを感じさせます(ただしGSによれば、この’18年は、ステレンボッシュよりナパに近い華やかさとのこと)。 ブルーベリーを主体に多彩なベリーの旨味が既に出ており、そこにミントやスパイス、かすかにシガー、湿森のウッディな心地良い匂いも。 ミネラルも優しく、確かに涼しげな青みはありますが、それは気になるどころかむしろ良好なアクセントになっています。 探せども野暮ったさは見えず、全体の洗練度の高さは驚くべきものです。まろ味や深みだけでなく、品の良さ、更には今後の可能性までをも感じさせる、フェミニンなオンリー・ワンの南ア・プレミアム・カベルネです。」 ◎Tim Atkin South Africa Report 2020よりTA94点
「Very much sui generis, this impressive Cabernet Sauvignon is a great wine to put into a blind tasting. Made with fruit from two single vineyards, it's youthful, stony, grippy and compact with considerable depth and intensity, fresh acidity, fine 20% new oak and inky damson and blackcurrant fruit.」 因みに2016、7、8、9、2020年度版レポートと、5年連続カベルネ・ソーヴィニヨン・ワインズ・オブ・ジ・イヤー
連続選出。5年連続とは、南アにたった二本しか存在しません(もう一つはデレア・グラフのローレンス・グラフ・リザーヴ)。 ラベル下部には1本1本手書きのシリアル・ナンバーが。今作は/7765…とありますので、年産は≪648ケース≫程度のようです。 全房使用率は70%ほど。自然酵母で発酵。新樽比率25%のフレンチ・オークで、澱とともに22ヶ月の樽熟成。澱引き後に更に数ヶ月寝かせ、アンフィルタードでボトル詰め。そこから更に24ヶ月…二年間瓶熟成させてからリリースされます。●決して大衆的とは申しませんが、しかし、確かに刺さる飲み手(それも深く)を少なからず抱えるであろう唯一無二のカベルネです。ハマれば間違いなく深く深く印象に残る一本です。
■60本完売! 12本追加いたしました。
■グレッグ・シャーウッド95ポイント
■ティム・アトキン94ポイント
■プラッターズ・ガイド94ポイント